偽王子と嘘少女
「何、数学やってんの?」
カバンから私の数学のワークを見て、同じように数学の教科書を出した。
「教えてくれるの?」
彼の教科書を横目に、シャーペンを走らせながら聞いた。
「嫌だよ…俺だって、そんなに頭がいいわけじゃないし」
「ええっ! ガリ勉少年だったのに!?」
わざとらしく、棒読みで言ってみる。
「お前だってそうじゃん…地味子だったんだろ? なのに、赤点取ってんだ」
「うっ……」
人の痛いところをついてくるとは、なんて卑怯なんだ…藤堂 忍!
ずるいんですけど!?