偽王子と嘘少女
今のは、何…?
空耳? 幻聴?
いや、違う。
確かに、はっきりと聞こえた。
私の秘密を知っている、と。
秘密…。
その単語を耳にして、思い当たるものといえば、1つしかない。
本当の私がバレた!?
どうしよう…彼にバラされたら、せっかく1年かけて築き上げてきたものがすべて崩れ落ちてしまうことになる。
それだけは、絶対に阻止しなければ…!
思い立った私は、藤堂くんをストーカーすることに決めた。
いや、ストーカーなんて人聞きの悪い。
ただ、逆に彼の秘密を握ろうとしているだけ。
やましい気持ちは、一切ないのだから。