偽王子と嘘少女
「分かった…希子に免じて、今回は一緒に勉強会することにするよ」
まあ、仕方ないしね。
そう口にした矢先。
目に入ってしまったのは、私の神様で…。
「し、紫水くん…」
いつも、というか中学生時代はかけていなかった、黒ぶち眼鏡。
耳には、白いイヤフォン。
1人用の小さなソファに腰掛け、本を読んでいる。
それだけ…たったそれだけのことなのに、私には作り物のように美しく見える。
「…今日も格好良い」
ぽつりと声に出した言葉は、紫水くんではなく、隣のあいつに届いていた。