偽王子と嘘少女
「へえ、あいつが例の紫水くんか…」
「そうだけど、格好良いでしょ!?」
「別に普通じゃね」
普通…!?
神のごとく格好良い紫水くんのことを、『普通』って言った!?
私は藤堂くんの今の発言が許せなくて、気付けば、彼の腕を掴んで荷物と共に図書館の外へと駆け出していた。
「おい、止まれって…! どうしたんだよ、急に」
「館内だと周りの人たちに迷惑になって、あまり大声が出せない気がしたの!」
そこのところは、ちゃんとしてるから。
だって、元地味子だし。
図書館を出たところの路地で、また言い合う。