偽王子と嘘少女
「ってか、さっきの何? 紫水くんはめっちゃ格好良いから! 少なくとも藤堂くんよりはね!」
「……っ。ふーん、そういうこと」
理解したのか、ニヤリと笑って私を見た。
「俺の言葉に苛ついて、衝動で出て来たってことだろ? お前が言いたいのは」
「そ、そうだよ!? 何か文句でも…「ある」
言いかけたところで、藤堂くんは冷静に声を発する。
その妙な静けさに、私はなぜか恐怖を感じている。
「『藤堂くんと一緒にいることで、紫水くんに、私に彼氏がいると思われたくない』。本音はそうなんだろ?」
「………っ!」
否定できない悔しさが、心をもやもやさせた。