偽王子と嘘少女
「そうだよ、私は紫水くんが好きだから」
たとえ本当の恋人じゃなくたって、異性の人と仲良くしていたら、私だって傷つく。
紫水くんにそんな気持ちがなくても、紫水くんが私を好きじゃなくても、なんとなくだけど、そういう気持ちにさせたくなかったんだ。
「付き合ってくれて、ありがとう。今日は、もう帰るね」
久しぶりに紫水くんに会えて嬉しいはずなのに、なぜかまだ心がぐちゃぐちゃのまま。
その気持ちに気付くのは、いつになるかな。
テストよりも難しい問題に、きっと私は直面しているのだった。