偽王子と嘘少女


「そうだよ、私は紫水くんが好きだから」


たとえ本当の恋人じゃなくたって、異性の人と仲良くしていたら、私だって傷つく。


紫水くんにそんな気持ちがなくても、紫水くんが私を好きじゃなくても、なんとなくだけど、そういう気持ちにさせたくなかったんだ。


「付き合ってくれて、ありがとう。今日は、もう帰るね」


久しぶりに紫水くんに会えて嬉しいはずなのに、なぜかまだ心がぐちゃぐちゃのまま。


その気持ちに気付くのは、いつになるかな。


テストよりも難しい問題に、きっと私は直面しているのだった。


< 43 / 273 >

この作品をシェア

pagetop