偽王子と嘘少女


サーっと降る雨も、高鳴る鼓動にかき消されて何も聞こえない。


他の人の目も、藤堂くんの澄んだ青い目に飲み込まれていく私には、何も見えない。


私と藤堂くん。


2人だけの世界が、数分の間で作られていた。


「なんて、格好良かっただろ。最近新しいのを思いついたからな」


「なっ………!?」


分かっていたはずなんだ、俺様キャラが嘘だなんて。


それなのに、どうしてまた私は…。


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