偽王子と嘘少女
下駄箱で靴を履き替えると、校門を出ようとする藤堂くんが目に入った。
あっ、見失う!
右に曲がったことをすばやく察知し、猛スピードで校門へと走った。
だけど、私が校門を出て、右に曲がったときには、すでに彼の姿はなかった。
どこへ行っちゃったんだろう。
息を切らしつつも悲しみに暮れていると、近くのコンビニから、私と同じ学校の制服を着た男子が出てくるのが見えた。
でも、その男子は藤堂くんと正反対の格好で、いつもの乱れた制服ではなく、ワイシャツは第一ボタンまで閉め、ふわふわに遊ばせた髪は、サラサラヘアーへ。
どうやら、関係のない人だったみたいだ。
また明日にしようかな。
肩を落とし、とぼとぼと足を踏み出す。
だけど…