偽王子と嘘少女
「着替えるまで、それ着ててっ…! 冷たいかもだけど、ごめん!」
そう私に言い残すと、逃げるように奥の部屋へと入っていった。
どうしたのかなと思いながら、自分の体に視線を移す。
「はっ……!?」
私の目に映ったのは、うっすらと透けたブラ。
藤堂くんは、きっとこれを見て動揺したのだろう。
改めて冷静に考えてみれば、ものすごく恥ずかしい。
何をやっているんだ、私は!
まったく、こういう天然はいらないよ!
馬鹿な自分自身に苛立ちながら、藤堂くんが着替えから戻ってくるのをドキドキしながら待っていた。
ただし、これは恋のドキドキではありません。