偽王子と嘘少女
「お待たせ…」
身長が低いわけでもないのに、袖や裾が引きずってしまうのは、彼との体格があっていないからだろう。
そんな恥ずかしさを感じつつ、二階にあるという藤堂くんの部屋に一歩踏み入れた今。
藤堂くんは緑色のTシャツ姿で、顔をまた赤くしている。
こういうところはシャイなんだな、と可愛い一面に思わずほおが緩む。
「じゃ…お、俺は、飲み物とか、も、持って…くるので…」
「…うん、よろしく」
どうやら、私も慣れてきたらしい。
そこまで、動揺とか緊張とかしなくなってきた。
さすがこのキャラを1年以上演じているだけある…なんて、自画自賛してみたり。