偽王子と嘘少女
「……っは…!」
「ん…?」
かすれ声のような小さい音だったけれど、何か聞こえた。
何だろう、と思って振り返ると、さっきの真面目そうな彼が、目を見開いて、私を指差し、固まっていたのだ。
そのとき、ふと気づいてしまった。
もしや…
「藤堂くん!?」
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「なんだー! 藤堂くんも、私側の人だったとはね!」
「う、うるせー…」
あのあと、藤堂くんは見たこともないくらいに顔を真っ赤に染め、なるべく人気のない所へ行きたいと、近くの古い公園へ案内された。
今は、ボロボロのベンチに座って話しているところ。