偽王子と嘘少女
「ちょっ…何?」
藤堂くんがこんなにも近くにいるせいで、私の胸も必要以上に高鳴っている。
すると、私の耳に口を近づけ、囁くように言うのだった。
「園川は危ない…あいつとは、関わらないほうがいい」
「……っ!」
耳の奥がくすぐったい。
ドキドキするようなこのシチュエーションでさえも、嘘だらけの関係の私たちにとっては、ただの迷惑でしかない。
それに、園川さんの悪口を言うなんて…。
無意識に手が、彼のほおへと向かっていた。