偽王子と嘘少女
な、にこれ…。
スリーブを外してみると、そこには大量の英単語が書かれていた。
消しゴムが真っ黒に染まるほどに、びっしりと。
「おい、なんだそれは!」
突然聞こえた声に、肩が震える。
すぐそばには、先生が立っていた。
「柊、今すぐ職員室へ行きなさい」
「……っ! ちが…」
これは、私のじゃない。
いったい誰が、こんなこと…!
席を立ち、先生の後は歩く。
ふと教室を見渡してみると、藤堂くんがただまっすぐに私を見ていた。