偽王子と嘘少女


怖くて、悲しくなって、逃げ出したくなったそのとき。


私の名前を呼ぶ、一筋の光が見えた。


「かぐや!」


二重になって声が重なる。


だけど、寄ってきてくれたのは、希子ではなく園川さんだけ。


「大丈夫!? かぐや!」


「うん、ありがと…」


止まったかのように思えた涙は、安堵という形で再び流れ出した。


「ねえ、カンニング疑惑…されたんでしょ? 噂が広まってる」


「そっか」


じゃあ、もうみんな知ってるんだね。


だから態度が変わったんだ。


藤堂くんも、希子でさえも。


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