偽王子と嘘少女
「やっほー!」
手を大きく振って、可愛らしい笑顔で駆け寄ってきてくれる。
「どうして、ここに? 今は、数学のテスト中じゃ…」
「いいの。具合が悪いってことにして、抜け出してきたから」
そこまでして、私に言わなければならないことでも、あるのだろうか。
休み時間じゃなくて、このテスト中に来たって言う意味は…?
「普段通りにしてていいよ。っていっても、屋上に来たのは、今日が初めてってくらいか」
あはっと照れ笑いし、フェンス近くのベンチに座る園川さん。
私も不思議に思いながら、とりあえずついていく。