偽王子と嘘少女
「じゃあ、今日から仲間だね! よろしく!」
スッと立ち上がり、手を差し出した。
でも、藤堂くんは私の手を握り返そうとはしない。
不思議に思って顔を覗き込むと、彼はとてつもないくらい不機嫌な様子。
なんで?
私、何かしちゃったのかな…。
なんだか悲しくなり、少し落ち込む。
すると、藤堂くんも立ち上がって、私の方を見た。
「俺の前では、素のままでいいから。あんまり無理すんな」
「……あ、うん」
いつもの藤堂くんに戻ったような気がして、上手く言葉が返せなかった。
胸がドキドキして、変な感じ。
偽りの彼だというのに、どうして…。