偽王子と嘘少女


「俺が何だって?」


突然屋上の扉のほうから声が聞こえて、目を向けてみれば、藤堂くんがいた。


「どうして、ここに…」


園川さんが、独り言のようにつぶやく。


「どうしてって、園川と同じことをしただけだけど?」


同じこと…つまり、藤堂くんも具合が悪いと言ってこっちに来たと言うことか。


「まああと5分くらいでテスト時間終わるし、問題ねーだろ」


そういう問題なのかな、と私は心配になるけれど、藤堂くんが来てくれたことに嬉しく感じている自分がいた。


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