偽王子と嘘少女
俯いていると、藤堂くんが私の頭に手を乗せた。
「あまり深く考えすぎんな。俺がいる、大丈夫だから」
何の根拠もないくせに、その言葉を信じてしまう私は、一体何なんだろう。
それでもやっぱり、藤堂くんのことは信じていたい。
たとえ裏切られても、彼の味方でずっといたい。
それが、今回助けてくれたことへの、恩返しになるから。
「かぐやっ!」
テスト終わりのチャイムと同時に聞こえてきた声は、希子のものだった。
屋上に着くなり、駆け足でこっちに向かっている。