偽王子と嘘少女


約束、か…。


もちろん、覚えているよ。


ただ、自信ないんだよなぁ。


カンニング疑惑はなんとか誤解が解けたとはいえ、後日欠席者とともに特別に受けさせてもらったテストでも、もちろんと言っていいほど、集中できるはずもなく、空欄ばかりになってしまった。


こんなんで、藤堂くんに勝てるとは思えない。


せっかく勉強教えてもらったのに、悪いことをしてしまった。


「何点だったの?」


恐る恐る聞いてみると、藤堂くんは勝ち誇ったような顔で答えた。


「3教科で、237」


「高っ!」


私は思わず声を出してしまう。


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