情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
「・・・」

蓮さんは椅子に腰を下ろし、神尾さんに掴まれた肩の傷を押さえて呻いていた。

「痛むの?蓮さん」

「大丈夫だよ」

「やせ我慢してるでしょ?」

「うるせぇよ」

蓮さんは前髪を掻き上げて顔を俯かせた。

「お前は寝てろよ」

カラダを起こす私に向かって吐き捨てる。

蓮さんの額には汗が滲んでいた。

私はナースコールのブザーを押す。


「痛むのか?」

「私は蓮さんの為に看護師を呼んだの」

「俺は大丈夫だぞ」

怒る彼の色素の薄い瞳にはいつもの凛とした光が見えなかった。
鈍い光だった。

部屋に入って来たのは看護師ではなく、白衣姿の諏訪部先輩だった。

「どうしたも?金森さん。何処か痛むの?」

「私ではなく、蓮さんが・・・」

「俺は大丈夫だよ。湊」

「病室にいないかと思えば、ここに居たのか…蓮。寝てなきゃいけないだろ?」

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