情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
「お前と日葵を結婚させない。別れて来いと命令された」

「・・・」

「『桐生家』の当主であるお爺様の命令には誰も逆らえない。
『桐生家』にとってお爺様が法だからな。
でも、それでも俺はお前と別れたくない」

「桐生会長に逆らうの??」

「・・・逆らう。
今からセックスして子供を作ろう。日葵」

「えっ!?」

「お前が俺の子を妊娠すれば・・・お爺様にとって待望の内孫が出来る。
その子が男児なら、万々歳だ!日葵」

蓮の安易な考え方に呆れた。

デキ婚とは・・・

「俺に融資を受けないと『金森薬品』は潰れる。それでもいいのか?」

「それは・・・」

高校時代に見た超絶に傲慢な蓮と重なる。
――――蓮をビンタしたせいで私は皆を敵に回してしまった。
黒く塗りつぶされた高校生活。

何一つ楽しいコトはなかった。

「俺がどうしてここまでしていると思ってんだ?俺は本気で日葵お前のコトを愛してるからだ」

蓮は言葉だけではなく、態度でも強引に迫り、私をソファに倒した。


「蓮・・・」

蓮はネクタイのノットに手を掛けて緩ませる。

「どうしてお前を愛してしまったのか・・・俺にはさっぱり分からない。
俺に恥をかかせた女なのに・・・」

蓮の二つの瞳は揺れていた。
緩ませたネクタイ、Yシャツのボタンを外して首許を寛がせた。

蓮は私のカラダを組み敷いたまま、黙って見つめる。


「俺は別れたくないんだ。
デキ婚なんて・・・本当はしたくない。でも、今の俺にはお爺様に歯向かう力がない。
他に方法がないんだ。日葵」
蓮は焦ったように吐き捨てた。
悲痛な叫びだったーーー・・・





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