情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
都心の高層ビルの最上階にあるフレンチレストランがディナーの場所。

個室タイプとラウンジタイプとで分かれていた。どちらの席からでも美しい東京の夜景が一望出来た。

格式のある雰囲気だが、気軽にフレンチを楽しめるそんなカジュアルな感じだった。

私達は個室タイプで、蓮さんと向かい合わせに座った。


「いい感じだろ?」


「そ、そうですね」


オードブルは北海道産の羅臼昆布でマリネした真鯛のカルパッチョ。


目の前のグラスに注がれたワインは、蓮さんの選んだブルゴーニュ地方のヴィンテージ物の赤ワイン。


蓮さんがグラスを持つと私も反射的にグラスを持った。


「二人のこれからにカンパイだ」


蓮さんは私に対する復讐のチャンスが舞い込み、意気揚々としている。



「花束、受け取っただろ?」


「あ・・・はい」


「嬉しくないのか?」


「嬉しいも何も・・・蓮さんは私に復讐心しかないクセに・・・」


「まぁ、そうだけど・・・普通、女が男から花束を貰えば喜ぶだろ?」


「そりゃ、確かに綺麗な薔薇でしたよ・・・」

「だろっ?」


「はい」


いつも、不機嫌そうにしていた蓮さんが気安く私に笑みを浮かべ、問いかけて来る。
その余りの自然な感じに返事をしてしまった。



「少しは俺に対して好意を持ったか?」


「べ、別に・・・」
私は冷たく返し、真鯛のカルパッチョを口に運んだ。



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