情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
「桐生先輩・・・彼女は貴方に本気だったんですよ!」
超絶に傲慢な桐生先輩を想っていた私の友人は彼に告白し、普通に振るならまだしも、その気にさせてヤリ捨てたのだった。
友人は私に泣きついて来た。
私は彼女を引き連れて食堂でお茶していた桐生先輩の元に乗り込んで直談判した。
「あ―お前か…何、まだ足りないのか?」
群がった女子生徒達の中心で優雅にコーヒーを啜りながら冷たく吐き捨てる。
「桐生先輩…この子に謝って下さい!!」
「謝る?この俺が?ふん、俺は別に悪いコトをしたと思ってない・・・この俺がお前ごときのレベルの女を抱いてやったんだ。光栄に思えよ」
彼女は泣きながら食堂を飛び出して行った。
群がる女子生徒達は口々に蔑んだ笑いを口許に浮かべる。
この学園は狂っている。おかしい。
常軌を逸した状況を変えたくて、桐生先輩の頬を叩いた。
「貴方はこの学園の生徒会長でしょ!!この学園はおかしい!!親の資産で生徒のレベルを決めないで!!」
「…小うるさいオンナだな・・・お前の名前は?」
桐生先輩は叩かれた頬を押さえ、鋭利な視線を向けた。
彼の気圧に押されたらいけない。私も彼を睨み返した。
「金森日葵よ」
「金森日葵か…よーく覚えといてやるよ。親父にも叩かれたコトのないこの俺を叩くなんていい度胸だ」
コイツも両親に蝶よ花よと育てられたのか・・・
桐生先輩が卒業する半年間。
私にとって学園生活は針の筵のなった。
きっと彼が主導して、取り巻き達に私を苛めるように命令したんだ。
あの頃の辛さを思い出すと彼に対する憎悪が湧き上がる。
私にとって彼は悪魔。
学園の王子様なんかじゃない。