情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
《8》浮気疑惑

日葵side~

眞彩と別れ、私と神尾さんは一緒に蓮さんの居る副社長室に入った。

「おはようございます。副社長」

水を打ったように静まりかえった室内。

「副社長?」

神尾さんも目をパチクリさせた。

「蓮様??」

「きっと、会長や社長に呼ばれただけですよ。神尾さん。私…コーヒーサーバー見て来ます」

「お願いします」
神尾さんは慌てた様子で蓮様に電話を掛ける。


誰も居ないと思っていた給湯室で蓮さんが食器棚に凭れかかり、眠っていた。


蓮さんのカラダから漂う甘い花のような香り。

男がつける香水じゃない。明らかに女物の香水の匂い。


「蓮さん」

私は爆睡する蓮さんの肩を揺すった。

「何、もうダメ…飲めない」

蓮さんはうわ言を呟く。


「起きて下さい、蓮さん」

私はもう一度、彼を呼んだ。

「んっ?」

蓮さんは前髪を掻き上げながら目をゆっくりと開いた。


「ひ、日葵?」

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