情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
私は初めての来客応対に緊張しながらコーヒーをお出しした。

「柊さんがこの俺に会いに来た理由は理解しています」

蓮さんは真剣な面持ちで柊さんを見つめる。


「『金森薬品』の件で至急に桐生副社長のお会いしたく来社しました」

私は蓮さんの背後に控え、父の社名は出た途端、首を傾げた。


「桐生副社長のおかげで倒産の危機は免れましたが・・・今の経営陣では会社の存続は難しいかと」


「しかし、『金森薬品』も一族経営の会社。経営陣を入れ替えるのは難しいかと思う」

「一族経営は良い所もありますが、悪い所もあります」

蓮さんは唇を噛み締める。


「貴方が『帝和銀行』が融資した額の半分を自身の借金としてお持ちなさりましたが・・・今の『金森薬品』の経営状況ではもう半分の融資額の回収も困難かと・・・」


「副社長・・・父の会社の・・・」

「日葵お前に後で話すから…後にしてくれ」

蓮さんは私の言葉を遮る。

倒産しかけの父の会社の融資を一度は断った『帝和銀行』

柊さんの話では、蓮さんは間に入って融資額の半分を自身の借金にして『帝和銀行』に融資を承諾させたと言っていた。


私が知らない所で、蓮さんは・・・
復讐と口では言いながらも、彼は私のコトを想って・・・?

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