情愛シンデレラ~悪魔な副社長と堕ちない花嫁~
《11》義理の兄

日葵side~

私は蓮さんと神尾さんと共に父の会社『金森薬品』を訊ねた。

父はラボの責任者・金森真琴(カナモリマコト)さんを呼んでいた。

真琴兄ちゃんと会うのは何年振りだろうか。

男性しては綺麗な顔立ちの真琴兄ちゃん。
京大理工学部卒。アイピーエス細胞でノーベル生理・医学賞を受賞した山本教授のゼミの学生。真琴兄ちゃんの両親は父の知り合い。両親は真琴兄ちゃんが中学一年生の時に不慮の飛行機事故で亡くなった。

父は身寄りのない真琴兄ちゃんを引き取り、養子として養育した。

私にとっては義理の兄的な存在。


「久し振りだね。日葵」

「真琴兄ちゃん、久しぶり」

「お兄ちゃん?日葵お前って…一人っ子じゃないのか?」

「彼は父の知り合いの子で。彼が中学一年生の時に両親二人共不慮の事故が亡くなったんだ。それから、うちで養子として引き取り、日葵の義理の兄として一緒に育った間柄だ」


「義理の兄がラボの責任者・・・すげぇ若いよな・・・」

「今年三十一歳です」

「…彼は京大理工学部のエリートなんだよ。
桐生副社長の言うアイピーエス細胞の研究にも京大時代から携わっていたんだ。
ウチでは開発費用を工面できず、臨床段階で研究がストップしたけど。真琴・・・桐生副社長が開発の再開の手伝いをしてくれる。彼に資料を見せてくれ。真琴」

「分かりました」




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