空にとけた夜の行方。
──ううん、ほんとはもうずっと、私は舜くんの後ろを歩いていたのではないのかもしれない。同じ道だと思っていたのは私だけで、きっと本当は、違う道を歩いてた。
だから私は、一人で歩くのだ。もうこれからはきっと、舜くんの影を探さずに。
また、チクリと胸が痛む。幼い頃から一緒にいたのだから、そんなに簡単に幼馴染離れが──失恋から立ち直ることが出来たら、苦労しないなと思った。
また、空を見上げる。やっぱり、広がるのは綺麗な水色。
──あの夜の色は、きっとどこにも行っていない。ただちょっと、光が指したおかげで見え方が変わっただけなんだろう。
空は同じものだ。私の心も、どこかに行くものではなくずっと付き合っていくものだ。
──それでも、夜が明けたら朝が来るように、綺麗だと思える日が、きっとくる。
この痛みも、混ぜこみすぎた色んな思いも、綺麗だと思える日が、きっと。
空 に溶けた 夜 の行方
(どこにも行かないけれど、もう掴めないもの)
─完─