オレの女はアイツだけ
「俺を舐めんな
こっちに回ってくるまでまだ30秒ある」
「えっ!?」
その自信はどこから出てくるのだろうか。
不思議とその自信を信じてみたくなる
初めて会ったのにどこか不思議な感覚がまとわりつく。
彼は動じることなく扉に向かって歩く。
真正面の扉をガチャリと開けた。
周囲を見渡しても
男たちの姿はなかった。
するとーー
目の前までゆっくり黒塗りの高級車が止まった。
え?
もしかして・・・
これに乗るの?
こんな高級車乗ったことない
本当に彼は何者なの?
彼が車に近づき扉を開くと
後部座席に押し込められた。
「あの。ちょっ」
「黙れ、乗れ、嚙みつき女」
ギロリと睨まれおとなしく乗った。
また嚙みつき女って・・・
そんな言い方しなくてもいいのに。
いろいろ聞きたいことも教えてほしいこともあるけれどグッと押し殺した。
彼は助手席に乗り込んだ。
「あと5秒か。樹、出せ」
「かしこまりました」
運転席に座っている男の人は
彼がインカムで指示をしてた樹と呼ばれてる人物らしい。
よく見ると
私と同じくらいの年齢か年下のように見えた。