オレの女はアイツだけ
すぐエンジンがかけられて車は走り出した。
しばらく沈黙が続く。
空気が少し重い。
私は勇気を出して問いかけた。
「あの!
もうそろそろ教えてくれませんか?」
「颯真さん
もしかして彼女に何も言わないで連れてきたのですか?」
「あ?言った
俺の女になれって」
彼はタブレットをタップしながら返事をした。
それを聞いて樹さんは呆れた表情をした。
「一条千夏様
颯真さんの数々のご無礼お許しください
ただ意味もなくあなたを連れてきた訳ではないのです」
「おい、樹
余計なこと言うな
ご無礼ってたかがキスしたぐらいだ」
不機嫌そうな声で樹さんを止める。
「颯真さん!
たかがキスじゃありませんよ!
十分ご無礼ですしセクハラです」
そう強く言い返され彼は黙り込んだ。
本当に樹さんの言う通りだ。
たかがキス!されどキスです!!
セクハラすぎます!!
しかも
初対面でありえなすぎます!
「本当にセクハラです!」
「あ?またキスされてぇのか?
このキス女のくせに」
き、キス女!?
この人は本当に口が悪い!!
「颯真さん!!
女性に向かってそのような言葉は慎んでください!」