オレの女はアイツだけ
「チッ」
彼は舌打ちしてミラー越しから私を思いきり睨んできた。
うっ・・・。
こわい。
すごい睨んでる。
絶対私は悪くないのに!
「千夏様には知る権利があります」
「うるせぇ
とにかく、今は何も言う気はねぇ
もう疲れた、寝るから着いたら起こせ」
それだけ言うと
彼は頑なに目を閉じて寝たふりをしている。
樹さんはひとつため息をつくと
ミラー越しから申し訳なさそうに軽く頭を下げた。
樹さん・・・。
これ以上追及しても無駄ってこと・・・?
まだ彼が何を考えているか
まったくわからない。
私にとって
彼は味方なのだろうか・・・?
一人でいろいろ考えながらも
さっきまでの恐怖と緊張が嘘のように静けさと車の揺れが心地よい。
さすがに走り回っていろんなことが起こりすぎて疲れがドッと出てきたのだろう
眠気が徐々に身体を包んでいく
そしてーー
私は心地よい眠りへと、落ちていった。