オレの女はアイツだけ
「いえ、
颯真さんに申し付けられておりますので
さぁ、こちらへどうぞ」
「あの、でも!」
「それでは失礼致します」
樹さんは、私の言葉無視して
鏡の前に私を座らせて化粧道具を広げていく。
樹さんって見かけによらず
強引だよね・・・
「今なら
私がお答えできることならお答えします」
彼がいないから
ちゃんと答えてくれるってこと・・・?
彼がいるとまた誤魔化されてしまうから?
そういうことなの・・・?
樹さんの表情からは何も読み取れない。
いきなり
本題へ入るのも・・・
当たり障りのない話から。
「あの樹さんって秘書のお仕事の他に
その彼の身の回りのお世話までやっているんですか?」
「私は主の影
いつも主のそばにいてお支えするのが私の仕事です」
「主の影・・・?」
その言葉に樹さんの顔をじっと見つめた。
しかし、さっきまで爽やかな笑みはなく
とても真剣な表情だった。
樹さん・・・?
これ以上踏み込むなと言われているような気がした。