オレの女はアイツだけ
「万が一お前が払えたとしても
またあの男たちに追われて捕まるだけだ」
「昨日のように・・・」
またあの男たちに・・・
今度こそ必ず捕まってしまう。
彼は俯き軽くため息をつき
顔をあげて私を見る。
「お前の選択肢には
俺たちから逃げるってのは存在しねぇ」
「颯真さん
脅かしすぎです
千夏さんが怯えてます」
「樹、これは脅しでもなんでもねぇ
これがアイツ自身の現実なんだよ
どこに逃げたって一緒なんだよ」
樹さんは心配そうに私を見つめる。
彼は動じることなくただただ鋭い視線で私をじっと見る。
でも、彼の言う通りだ。
私には選択肢なんてない。
逃げ場なんてもうとっくに私にはないのだ。
そしてーー
私が拒めば拒むほどあの人の罠にはまっていく気がする。
ゆっくり顔を上げると
彼の強い視線がぶつかる。
なぜかその視線から目が離せなくなる。
その視線から動けなくなる。
「ハイかYESで答えろ
一条千夏、俺の女になれ」
その言葉にびくっとしたのは一瞬だけだった。