オレの女はアイツだけ
その日の夜ーー。
某所
高層ビルの最上階の一室
そこには、
車椅子に座った老年男性と黒のスーツに身を包んだ男性がいた。
月明りが二人の姿を映し出されている。
「社長、例の件はシナダグループのオーナー
椎名颯真が請け負ったようです」
「ほぅ
あの椎名くんがね
うまく逃げ切れたようだね」
「そうですね
少し予想外ですが・・・」
社長と呼ばれる老年男性は優しい笑みを浮かべていた。
対象的に、もう一人の男は無表情で立っていた。
「キミにとっては不本意なようだがね」
「いや、そのようなことは・・・」
老年男性のその言葉に彼は
さっきまでの冷静さとは打って変わって動揺が隠せない。
その様子を楽しむかのように老年男性は笑う
「ハハッ
その様子だと図星なようだ
復讐が怖いかね、椎名博人くん」
復讐という言葉を聞いた瞬間
彼の表情が歪んでいく。
「・・・私はもう覚悟はできています」
彼は拳をギュっと握りしめた。
「その言い方だと
私がこの楽しいゲームに負けたようだね」