オレの女はアイツだけ
「そのようなことは・・・!」
「ハハハッ
まだこれは序章にすぎない
楽しいゲームはこれからだ
キミにはもう少し付き合ってもらうよ」
老年男性は意味深な笑みを浮かべていた。
「・・・はい、仰せのままに」
椎名博人と呼ばれた男性。
彼は老年男性の言葉に従い深々と頭を下げた。
その様子から
老年男性の言葉には彼にとって絶対的なものが窺がえる。
老年男性は車椅子を一人で動かし
デスクの前に置かれた一枚の写真立てを握りしめた。
そしてーー
その写真の中で笑う二人の親子を見つめた。
母親はにこやかに微笑み
その腕の中で満面の笑みを浮かべる少女
「私の愛しき孫よ
お前は一条グループから一生逃れられない
なぜなら、一条を継ぐ者なのだから・・・」
ぼんやりと小さく呟いた。
老年男性は、写真を見ている。
けれどーー。
その目はここではない
どこか違う場所を切なげに見つめていた。