赤い花、散らさぬように
「大勢で一人をやろうなんて、セコいマネしてんじゃねーよ!」
紅は瞬く間に男たちの方へ足を踏み出すと、そのまま自分より遥かに背の高い男を投げた。
どしん、と派手な音が響く。
男たちはポカンとしている。投げられた男も、何が起こったのかわからないという顔をしている。
俺だけが、あーあ、という顔をしていた。
紅は、本気でキレると手がつけられなくなる。口調は荒くなるし、手が出やすくなってしまう。
暴走すると周りが見えなくなるところがあるから、注意が必要なのだが。
紅は二人目、三人目と次々投げていく。
その間、呆気にとられていたはずの殴られ男は、いつのまにか逃げていた。
投げられた男たちははじめこそ驚いていたけど、立ち直りも早かった。
「いきなりなにすんだこのアマ!」
男が紅につかみかかろうとする。彼女はそれをかわすと、また男を投げる。