赤い花、散らさぬように
手からナイフが落ちて、カシャン、と地面に転がる。すぐにそれをまた手の届かない場所へ蹴る。
今度こそ、他の男たちにも手加減なしで殴って、蹴り上げる。
立ち上がれる奴がいなくなった頃、俺は大声で怒鳴った。
「さっさと失せろ!」
男たちは泣きながら地面を這って逃げていった。
はぁ、と息をついて、近くで座り込む紅を見やる。
「このバカ!!」
怒鳴られた紅は、びくっと肩を跳ねさせた。
頬から流れる血をハンカチで押さえながら、「ご、ごめんなさい……」と言って縮こまる。
「お前からケンカふっかけてどうすんだ!俺がついてきた意味がねえだろうが!」
「ひっ、ご、ごめんなさ……」
「自分がある程度強いからって油断するな!相手が刃物持ってたら、素手じゃ太刀打ちできねえのわかるだろ!?」
「は、はい。ごめんなさい……」
涙目で謝ってくる紅を見て、はあ、とため息をつく。