赤い花、散らさぬように
「……そーですね。お嬢さんは、そのまんまでいいと思います。普通になんかならなくていい。俺が惚れたのは、真面目で優しくてケンカが強い、そのままの紅さんですからね」
小さく笑いかけると、紅は嬉しそうに笑った。
ひとまず頬の手当てしなきゃな、と俺が言って、ふたりして立ち上がる。
いつもの癖で、ズボンのポケットに手を入れようとしていたけど、少し考えてやめた。
そっと手を握ると、彼女は驚いた顔をしたあと、これ以上ないくらい幸せそうに笑った。
紅があっちの高校に受かったら、本当についていってやろうかな、なんて考えながら、手を繋いで帰った。
End.