殺人鬼からのラブレター
***

12月3日、18時00分。


「お前ら全員、道連れにしてやる!! 」


不安になり、見守りの為に訪れていた商店街の片隅で。


俺は、そう叫びながら包丁を振り回す、スーツ姿の男を見つめていた。

「嘘、だろ……」

12月3日の18時00分に商店街に現れたのは、川澄 吾郎でも、五十嵐 大輔でも無い。


生気の無い顔に黒ブチの眼鏡をかけた、細身の男。


……今まで見たことのない、全くの、別人だった。


殺しても、殺しても、増殖するかのように現れる通り魔たち。

商店街で買い物をしていた近所の人達が悲鳴を上げながら、一斉に散り散りになっていく。

その中に、自転車に乗りアイの家へと向かう、福田 幸枝を見つけた。

福田 幸枝は首を傾げながら、逃げる人達と反対方向の……通り魔がいる場所へと、向かっていく。

心に芽生える、絶望という名の感情。

嫌という程繰り返し見た、この後に行われる悪夢。


新たなる通り魔の男も、福田 幸枝に向かって包丁を光らせた。

そこでやっと通り魔の存在に気付いた福田 幸枝が、タケに振られ泣き腫らした目を見開きながら、叫び声を上げる。
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