殺人鬼からのラブレター
レンは唇を噛み締めながら、悔しそうに呟く。

「すまない。限界、なんだ……。もう、どうすればアイを救ってやれるか、俺には分からない……」


血に塗れ、罪悪感に塗れ、それでも逃げ出すことも、成し遂げることも出来ず。

1人で時を戻り続けて来た彼が背負ってきたものは、どれ程のものだろうか、私には想像も出来ない。


「もう良いよ、レン。私の為に苦しまないで。貴方がそんな辛い思いをしているなんて、私まで辛いよ……」



彼の頬に、寄り添う私の瞳から流れ落ちた涙が伝ってゆく。


何も答えないレンの代わりに、タケが真剣な表情で呟いた。

「にわかには信じ難い話しだが……本当に、アイを救う方法は他には無いのか? あの、ほら、レンが12月1日に戻されることになった原因を、探るとかさ? 」


レンは目を細めた後、「それは、分からない」と小さく答える。

そして口から大量に吐血したあと、苦笑いをしながらタケに視線を向けた。


「……なぁ、タケ? やっぱ救急車、呼んでくれないか……。俺もう、死にそうだわ……」
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