殺人鬼からのラブレター



(最近、こういうことが増えたなぁ。昨日も学校からの帰り道で、ずっと足音がついてきたし)

フッと幼馴染みに顔を向けた時、何か違和感を感じた。


(なんかレンの顔、覇気が無くてしんどそうに見える....)


ちょうど赤に点滅する踏切の前で立ち止まり、前屈みになって横から彼の顔を覗き込んだ。


「ねぇ、大丈夫?もしかして熱あるの?」

レンは首に巻いているマフラーを、高くて上品な鼻までたくし上げる。

「ああ、少し。気にするな、大丈夫だ」


私達の目の前では、カンカンカン、と甲高い音を響かせながら、黄色と黒で彩られている遮断棒が降りようとしていた。


「えーっ!それでよく朝練に行こうとしたね。あんまり無理しちゃ駄目だよ?」

「はいはい」

「もー。人のことは心配して優しくするくせに、自分が心配されたらそうやって冷たくあしらうんだから、レンは。そう言うの、ツンデレって言うんだよ?」

「うるさい、これが普通だ。俺はツンデレなんかじゃない」

ヤイヤイと言い合う2人の前で、遮断棒が線路と道路を完全に隔てようとしている、その時だった。


< 17 / 158 >

この作品をシェア

pagetop