殺人鬼からのラブレター
(最近、こういうことが増えたなぁ。昨日も学校からの帰り道で、ずっと足音がついてきたし)
フッと幼馴染みに顔を向けた時、何か違和感を感じた。
(なんかレンの顔、覇気が無くてしんどそうに見える....)
ちょうど赤に点滅する踏切の前で立ち止まり、前屈みになって横から彼の顔を覗き込んだ。
「ねぇ、大丈夫?もしかして熱あるの?」
レンは首に巻いているマフラーを、高くて上品な鼻までたくし上げる。
「ああ、少し。気にするな、大丈夫だ」
私達の目の前では、カンカンカン、と甲高い音を響かせながら、黄色と黒で彩られている遮断棒が降りようとしていた。
「えーっ!それでよく朝練に行こうとしたね。あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
「はいはい」
「もー。人のことは心配して優しくするくせに、自分が心配されたらそうやって冷たくあしらうんだから、レンは。そう言うの、ツンデレって言うんだよ?」
「うるさい、これが普通だ。俺はツンデレなんかじゃない」
ヤイヤイと言い合う2人の前で、遮断棒が線路と道路を完全に隔てようとしている、その時だった。