殺人鬼からのラブレター
「もう、タケってば。いきなり声掛けてきたら、びっくりするじゃん」

「サチエ、悪い悪い。そんなに怒るなって」


そしてタケは、さっちゃんの片想いの相手である。


彼が自分の前に現れてからというもの、さっちゃんの頬は恋する乙女を体現しているかのように、緩んでいる。


「っつーか、アイさぁ、レン見なかった?アイツ、朝練にも来てなくてよぉ」

「え、レン?」


さっちゃんとの他愛ないやり取りを終えたタケは、早々に私にそう質問を投げかけてきた。


親友である自分に連絡が来なかったことに、不満を感じているのだろう。

腕を組みながら、眉間にシワを寄せている。

「朝練は、熱があるから休むって言ってた。でも、学校には一緒に登校したよ?」


そう説明するも、タケの表情は曇ったままだ。


「あ、そうなんだ。けどよぉ、B組の教室行ってもレンの姿無くってさぁ」

「え!そうなの?」

ついさっきまで一緒にいたけど、学校を休むなんて一言も言ってなかったのに......。

身体がしんどくて、やっぱり帰ったのかなぁ?

いつもは無表情でクールな彼の顔色が、今日の朝は死人みたいに悪かったし。


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