殺人鬼からのラブレター
お母さんが綺麗な取り皿を人数分テーブルに置きながら、ぼんやりとニュースを眺めている私に声を掛けてきた。
「アイも登下校気を付けなさいね。最近、この辺りも物騒みたいだし」
「うん、気を付ける。お母さん達も気を付けてね」
口に出して、改めて実感した。
そうか、お母さんもお父さんも、いつ死んでしまうかどうかは、分からないんだ。
「あら。優しい気遣い、ありがとう。さぁ、ご飯にしましょ」
そう思うと、家族で団らんできるこの時間が、なんだかとても愛しく感じた。
「そう言えば、今日はレンくんと一緒に登校してたけど、相変わらず仲良いのね」
「うん、まぁね」
食事を摂っている間、私は両親に手紙のことを話そうとはしなかった。
絶対に大騒ぎするだろうし、手紙の差出人を捕まえるとか言いそうだからだ。