殺人鬼からのラブレター
可愛いなぁ、イケメンなのにそういうピュアな一面がある部分も、人気者になるひとつの理由なんだろうなぁ。

私が恋人になるなんて、きっと夢のまた夢なんだろう。

今はただ、繋がれたこの指から伝わる幸せを、噛み締めていたい……。

時折切なさが、レンを好きだという想いが、溢れ出してしまいそうになる。

そんなことを考えながら繋ぐ力が緩められた指先に、私からそっと力を込める。

力を込めると同時に、レンが顔を上げてくれた。

「さ、帰ろ? 」


こちらを見るレンの顔は、もう怒ってはいなくて。


代わりに、恋心を抱くこの胸が掴まれるような、爽やかな苦笑いを浮かべていた。


「アイには敵わないな。ああ。さっさと帰るか」


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