殺人鬼からのラブレター
レンと共に振り返ると、暗がりの中で鈍色に光るカッターナイフを携えた男が、真っ直ぐに此方を見据えていた。


男の容姿に見覚えは無かった。

けれど、その眼光の鋭さには覚えがあった。



「あ、あなた、誰なの? 」

最近、常に見られていると感じていた、執拗で陰湿な視線。

正に、目の前の男から放たれるそれと、同じだったから。

「ずっとずっと一緒だよ、って言ってたのに……アイちゃん酷いよ。僕はずっとアイちゃんだけしか見ずに、今日まで来たのに……それなのに、君はそんな男とばかり楽しそうに嬉しそうにしてさ」


死んだ魚のような目と、色素の薄い唇。

ゆらゆらと不規則に揺れる身体は、いつ私達に襲いかかろうかと思案しているように見える。


「アイ、逃げろ。コイツが恐らく、”死の手紙”に書いてあった、ストーカーだ」


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