殺人鬼からのラブレター
人から盗んだかのように不釣り合いな大きな鼻と大きな耳をした大柄の男は、何かブツブツと呟きながら、殺意の篭った瞳で私を庇う幼馴染みの男の子に、刃の切っ先を向ける。


「アイちゃん、そんな男は忘れさせてあげる。僕と一緒になろう。僕の方が、きっと良いよ? 優しくするよ大丈夫だから」


感情の死んでいる不気味な笑みを見て、殺されると本能的に感じた。


「家に向かって走れ、 アイ! 」


怒号と共に、幼い頃から憧れていた背中が、私の視界を遮る。


男が荒い息づかいと共に、駆け寄ってくるのが分かった。

強い緊迫と興奮を感じて、体の中に異様な緊張が満ち溢れる。


(このままだと、レンが傷付けられてしまう……っ)


「そんなの、嫌だ……! 」

(大切な人が傷付くくらいなら、自分が傷付けられた方がっ......)


「うわ、アイ、何してんだ馬鹿っ」



庇うようにして私の前に立つレンを退けようと、ブレザーを両手で掴み、横に振り払おうとした、その時だった。

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