同じ景色を見れたならば
ヒトミに知られたらダメだ…。
これは隠し通さなきゃ。諦めなきゃいけないことだ。
『でもさ。ヒトミの彼氏ってのは彼氏だけど、人は誰を好きになっても
それは誰も止める権利なんてないと思うよ。ひっそりと好きでいてるのもアリなんじゃないかな』
ひっそりとか…
誰にも言わずにひっそりと片思いなら許されるのかな。
その言葉から私は過ちへの一歩を踏んだのかもしれない。
午後の授業も終わり家へ帰宅した。
『ただいま』
おかえりの返答はなかった。
いつもなら誰かしら返してくれるのに。
リビングのドアを開けるとそこには
お父さんとお母さんが居た。
『おかえりなさい。アヤネ、大切な話があるんだ』
どうやら何かあったみたいだ。
いつもは仲のいい夫婦なのだが、今日は眉間にシワを寄せているお父さん。
ソファに腰をかけ話を聞いた。