彼女が指輪をはずすとき
「ここよ」
居酒屋から20分ほど歩いたあと、あるマンションの前にたどり着いた。
そこは10階建てのマンションで、マンション名は"メゾン・アクチュアリー"とかかれている。
そして彼女は掴んでいた俺の腕から手を離し、俺の前に立つ。
「ここで大丈夫よ。今日は送ってくれてありがとう」
彼女はそう言って微笑んだ。
夜風にあたったからか、大分顔色も良くなったように見える。
「いえ、とんでもないです。今日はありがとうございました」
「じゃあね三笠くん、また月曜日にね」
「お疲れさまでした。今日はゆっくり休んでください」
俺がそう言うと彼女は俺に背を向けて、マンションの入り口へと足を向けた。
もう少し、一緒に居たかったな。
彼女が掴んでいた俺の右腕に、左手でそっと触れる。
まだ彼女のぬくもりが残っている。
彼女が誰かのものじゃなければ、腕ではなくて薄いピンク色のマニキュアをした左手を握るのに。
ーーーバタンッ!!
大きな音で俺は我にかえる。
なんだ、何の音だ?
マンションの入り口のほうをみると、藤堂さんが地面に倒れているのが見えた。
「と…藤堂さんっ!?」
俺は持っていた自分の鞄を放り出し、無我夢中で彼女のほうへと走り出した。
「大丈夫ですか、藤堂さん!」
抱き起こし必死に呼び掛けると、彼女ははっとして意識を取り戻す。
居酒屋から20分ほど歩いたあと、あるマンションの前にたどり着いた。
そこは10階建てのマンションで、マンション名は"メゾン・アクチュアリー"とかかれている。
そして彼女は掴んでいた俺の腕から手を離し、俺の前に立つ。
「ここで大丈夫よ。今日は送ってくれてありがとう」
彼女はそう言って微笑んだ。
夜風にあたったからか、大分顔色も良くなったように見える。
「いえ、とんでもないです。今日はありがとうございました」
「じゃあね三笠くん、また月曜日にね」
「お疲れさまでした。今日はゆっくり休んでください」
俺がそう言うと彼女は俺に背を向けて、マンションの入り口へと足を向けた。
もう少し、一緒に居たかったな。
彼女が掴んでいた俺の右腕に、左手でそっと触れる。
まだ彼女のぬくもりが残っている。
彼女が誰かのものじゃなければ、腕ではなくて薄いピンク色のマニキュアをした左手を握るのに。
ーーーバタンッ!!
大きな音で俺は我にかえる。
なんだ、何の音だ?
マンションの入り口のほうをみると、藤堂さんが地面に倒れているのが見えた。
「と…藤堂さんっ!?」
俺は持っていた自分の鞄を放り出し、無我夢中で彼女のほうへと走り出した。
「大丈夫ですか、藤堂さん!」
抱き起こし必死に呼び掛けると、彼女ははっとして意識を取り戻す。