彼女が指輪をはずすとき
『あのとき俺も、遠回しにひかりに好きだと言おうとした。ひかりが俺のことを好きだって確証がなくて、逃げたんだ』

『…え?』

いま、なんて言った?

『今ならちゃんと言える。ひかりが好きだ』

ああ…これって両想いってこと?
いま先輩は私のこと"好き"って言ったよね?
聞き間違いじゃないよね?
私の妄想じゃないよね?

『先輩…っ!』

私は彼の胸に飛び込み、腰に手を回す。
彼も私の背中に手を回して、ぎゅっと包み込んでくれる。

先輩の心臓の鼓動がはやい。
私も同じくらい、緊張と興奮で胸が高鳴る。

先輩にドキドキしてるのがばれちゃう。
でも今はそれでもいいや。

私は彼の胸に顔を埋めて、しばらくの間抱き合っていた。
本当に両思いになったんだなと実感した瞬間だった。

その日から私たちは付き合い始めた。



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