彼女が指輪をはずすとき
それからは彼との幸せな日々が続いた。

付き合って半年。
二人で夜の海へドライブに出かけ、砂浜で寄り添いあった。
そして彼はサプライズで指輪をくれた。
ピンクのリボンで結ばれた白い小さな箱に、ピンクゴールドの指輪が入っていた。

『ひかりが大学を卒業して、就職して生活が安定してきたら、結婚しようか』

彼はそう言って笑った。
まさかそんなことまで考えてくれてるだなんて思わなくて、私は嬉しくて涙が溢れた。

きっとこの人と結婚する。
付き合い始めて、日に日にそう感じるようになった。
この人と一緒ならずっと笑っていられる。
全てを失ったってきっと、この人がいれば生きていける。

彼が聞いたらきっと、大袈裟だって言って笑うだろうな。
そう思っていたけれど、彼も私との将来を考えていてくれたと知ることができて、このときが人生で一番に幸せだと感じた。

『もう、泣くなよひかり。これからずっと俺が、ひかりのことを守るからな』

これからずっと、この人と一緒に居るのだと思っていた。

そして付き合い始めて4年。
お互いの両親とも顔合わせをし、結婚まであと1年に控えた時期だった。

今でもそのときのことは鮮明に覚えている。
私は仕事を終え、彼と二人で住んでいたマンションで料理を作り、彼を待っていた時のことだった。
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