彼女が指輪をはずすとき
近づいては離れる距離
藤堂さんが有給を取った次の日。
彼女はいつも通り仕事に打ちこんでいた。
昨日は何故休んだのかと聞くつもりだったが、いざ彼女を目の前にすると聞くにも聞けなかった。
プライベートなことだし、もしかしたら聞かれたくないことかもしれない。
そう考えて俺は聞かないことにした。
「藤堂さん。来週の会議のプレゼン資料なのですが…」
しかし今日の彼女はどこかおかしかった。
プレゼン資料の作成に関してわからないことがあったので、藤堂さんに質問に行ったときのことだ。
「……」
彼女はパソコンをながめながら、キーボードに手をかけたまま動きが止まっている。
俺が話しかけても反応せず、上の空で聞こえていないようだ。
「…藤堂、さん?」
もう一度呼びかけると、彼女は現実に引き戻されたかのように身体がぴくっと反応する。
「わっ…三笠くん、どうしたの?」
彼女は俺の存在にたったいま気がついたかのような反応をする。
20秒ほど前からずっと居たんだけどな。
「えっと、来週の会議のプレゼン資料について質問をしたくて…」
「ああ!何がわからないの?」
彼女は俺が手に持っている資料をのぞきこむ。
「大丈夫ですか?藤堂さん疲れているんじゃ…」
「ううん違うの。少しぼーっとしてただけよ。ごめんなさい」
彼女は笑ってごまかす。
このとき俺は、そんなこともあるかと軽く考えて深くは気にしていなかった。
彼女はいつも通り仕事に打ちこんでいた。
昨日は何故休んだのかと聞くつもりだったが、いざ彼女を目の前にすると聞くにも聞けなかった。
プライベートなことだし、もしかしたら聞かれたくないことかもしれない。
そう考えて俺は聞かないことにした。
「藤堂さん。来週の会議のプレゼン資料なのですが…」
しかし今日の彼女はどこかおかしかった。
プレゼン資料の作成に関してわからないことがあったので、藤堂さんに質問に行ったときのことだ。
「……」
彼女はパソコンをながめながら、キーボードに手をかけたまま動きが止まっている。
俺が話しかけても反応せず、上の空で聞こえていないようだ。
「…藤堂、さん?」
もう一度呼びかけると、彼女は現実に引き戻されたかのように身体がぴくっと反応する。
「わっ…三笠くん、どうしたの?」
彼女は俺の存在にたったいま気がついたかのような反応をする。
20秒ほど前からずっと居たんだけどな。
「えっと、来週の会議のプレゼン資料について質問をしたくて…」
「ああ!何がわからないの?」
彼女は俺が手に持っている資料をのぞきこむ。
「大丈夫ですか?藤堂さん疲れているんじゃ…」
「ううん違うの。少しぼーっとしてただけよ。ごめんなさい」
彼女は笑ってごまかす。
このとき俺は、そんなこともあるかと軽く考えて深くは気にしていなかった。